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はっぴーほりでー

モモちゃんの紹介『眼球綺譚』

 

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眼球綺譚

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人里離れた山中の別荘で、私は最愛の妻・由伊とふたりで過ごしていた。妖精のように可憐で、愛らしかった由伊。しかし今はもう、私が話しかけても由伊は返事をしない。物云わぬ妻の身体を前にして、私はひたすら待ちつづけている。由伊の祝福された身体に起こる奇跡―――由伊の「再生」を。(「再生」)繊細で美しい七つの物語。怪奇と幻想をこよなく愛する著者が一編一編、魂をこめて綴った珠玉の作品集。(引用元:角川文庫)

 

蠱惑的な短編集

にわかーらんどのホラー担当。モモです。趣味は「やっぱり人間が一番怖いよねぇ~w」と宣う聡い御仁の枕元に日本人形の差し入れをすること。本日紹介する作品は『眼球綺譚』です。「新本格ミステリーの旗手」として現在も活躍中の綾辻先生のホラー小説です。綾辻先生は『十角館の殺人』をはじめとした和製ミステリーの金字塔「館シリーズ」の著者ですね。この記事の読者だと、数々のヲタクたちを絶望の底に叩き落としたアニメ『Anther』の原作者の方がピンとくる方が多いかもですね。「綾辻先生といえばミステリー」と思われがちですが個人的には綾辻先生の小説はミステリーよりホラーの方が好きです。今「それはあなたがホラーが好きなだけなのでは?」と思ったあなた。正解です。ご褒美にこの日本人形を差し上げましょう。

  

『眼球綺譚』は今まで私が読んできた様々な小説の中で最も「美しい」作品です。「蠱惑的美しさ」持ったこの世界に魅了され時間も忘れて読みふけったことを覚えています。「これ以上読み進めてはいけない」と思いつつもページをめくってしまう。ページの先には絶望しかないことがわたっているのに読み進めてしまう。この小説はある種の破滅願望のような欲を刺激する作品です。

 

この小説を支えているのは、叙述トリックの名手としての傑作ミステリーを書き上げる筆力でしょう。多くの読者を欺き驚愕させた技術を恐怖の描写へ極振りしているのが本書です。抗えるわけがないでしょう。

 

『眼球綺譚』は現実と幻想の境界線の夢か現かわからない、最も美しい景色を魅せてくれるイチオシの小説です。(文:モモ)