【楽しい復讐】『ラメルノエリキサ』著:渡辺優【サクッと紹介】
紹介補足
「ラメルノエリキサ」は第28回小説すばる新人賞の受賞作で選考員の宮部みゆき先生が「りなちゃん(本作の主人公)のファンになりました」と絶賛した作品です(ソースはあとがき)
渡辺先生の他作品
『自由なサメと人間たちの夢』(集英社)
『地下にうごめく星』(集英社)
読みどころ①痛烈で強烈で奇天烈な青春疾走復讐コメディ
『ラメルノエリキサ』は読後感が超気持ちいい!僕の中では今まで読んだ小説の中ではトップクラスに気持ちいい幕引きでした。しかし、どう気持ちよかったのか?と聞かれると答えるのが難しいです。別に衝撃的だったり奇をてらった幕引きでなく。一人の少女が日常に戻っていくようなそんなありきたりな幕引きです。恐らく終着点までの道のりがあってのあの最高に気持ちいいラストだったんだと思います。 もちろん物語の序盤・中盤も痛快で強烈で面白かったですよ!
というわけで、小説の魅力についてダラダラ語っていきましょう。この作品のテーマは”復讐”です。復讐と聞くと重くて暗くてメンタルブレイクしそうな作品をイメージしませんか?ゴブリンスレイヤーのせいでお漏らしを連想する紳士がいるかもですがまぁ、それは置いといて。あ、忍殺も置いといてください。粉末成形スシで体力回復するのはやめてください。・・・話がそれまくりましたが、復讐をテーマにした作品は暗くて重いストーリーや語り口で読むのにパワーがいりますよね。しかしこの作品は頭空っぽにしてでも楽しめます。なぜなのか?それはこの作品がコメディだからです!しかもただのコメディではなく、主人公の少女が”復讐”という目標に向かって直走る「痛烈で強烈で奇天烈な青春疾走復讐コメディ」なのです!
この作品を「楽しい復讐コメディ」たらしめている要素はただ一つ、強烈で可憐な主人公のりなちゃんの存在だと思います。色んな意味で前向きで才色兼備の努力家で軽快に痛烈な毒を吐く語り口がたまりません。復讐劇にもジメジメとした悲劇にもなりそうなストーリーを正気のまま狂ったりなちゃんが無理矢理、舞台を喜劇に変える主人公力が魅力的な小説です。
存在感のありすぎる主人公が物語を無理やりコメディに変えているようなアンバランス感もこの作品の魅力なのかもしれませんね。
読みどころ②一気に読ませる推進力
『ラメルノエリキサ』は読み始めると止まりません。いや、人によると思いますが僕は止まれませんでした。小説の一気読みは疲れるし時間がかかるのであまりしないのですが、この小説はそれを許してくれなかった。推進力がヤバいです。
具体的にどうヤバいかなのですが・・・正直なとこ僕もよくわからんのですよ。今までの経験上、ついつい一気読みしてしまう作品というのは「続きが気になって気になって仕方がない」作品なのですがこの作品はそういう感じではないんですよね・・・。
ストーリー自体は遠目に見ればいたって平坦で展開が目まぐるしく変わるわけでもなければ、どんでん返しなども特にないのですが気が付いたら読み込んでしまう魅力があります。・・・日常系のギャグアニメを延々と見ちゃって気が付いたら休日が終わっていたあの感じに近いかもですね。オタク臭い例えですいませんねぇ。
まぁ、なんといいますか。面白かったからみんなも読んでみてね!!
まとめ
以上、『ラメルノエリキサ』の紹介でした。語彙力の限界を感じる今日この頃。この小説はもっとこう・・・なんて言えばいいんでしょうね?とにかくクッソ激烈に面白かったので僕と感性が合いそうな人は是非読んでみてください!狂気と正気の間の丁度気持ちいい場所を刺激する青春爆走コメディを楽しんでください!
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