【怪異×時代小説】『人魚ノ肉』著:木下昌輝【サクッと紹介】
紹介補足
『人魚ノ肉』は『宇喜多の捨て嫁』でデビューした木下先生の2作目の作品。第6回山田風太郎賞の候補。幕末の動乱の時代を坂本竜馬や沖田総司など異なる視点から語る8篇の短編を収録。大塩平八郎もでるから大塩クラスタは読もうね!※名前だけしかでません(半ギレ)
●木下昌輝先生の他作品
『宇喜多の捨て嫁』第92回オール讀物新人賞含む4つの賞を受賞
『天下一の軽口男』
『敵の名は、宮本武蔵』
『宇喜多の楽土』
読みどころ①時代小説初心者向け(たぶん!)
時代小説をほぼ読んでいない僕が言うので間違いないはず!たぶん。恐らく・・・。このままじゃ1ミリも信憑性がないですねぇ・・・。具体的にどんなとこが初心者向けか、僕に優しかったか考えていこうと思います。
うーんなんだろ。「入口広い」これですね。メインキャラクタたちが歴史が好きな人でなくとも知ってるであろう「坂本竜馬」や「新選組」のメンツなので非常に馴染みやすい。何を成し遂げた人なのか義務教育を受けてなくても何となくわかる方々なので前情報なしで読みはじめれます。さらに「坂本竜馬」の逸話など知ってるとさらに物語が面白くなる小話が冒頭に収録されています。親切!優しい!わーい!そんな感じです。
次に文体・文章に関して。堅苦しくなく非常読みやすいです。序盤の竜馬や岡田以蔵の土佐弁を解読するのにちょっと躓きましたがその程度でした(解読といってもグーグル先生なしでも何となくわかります)。「堅苦しかったりその時代特有の言葉だったりがないと時代小説にならないんじゃ?」とか思ってましたが『人魚ノ肉』はちゃんと時代小説の空気を味わえる作品でした。現代の娯楽小説の様にも読めるが根幹は時代小説、この辺りのバランスが非常良い作品だなと思います。
読みどころ②怪異小説としての面白さ
『人魚ノ肉』は忠実に怪異を組み込んだ小説です。この怪異の部分が非常に面白い。「人魚の肉」を中心に怪異の手が偉人たちを絡めとり、ある者は生き抜く為にある者は大義を貫く為にもがき戦う。怪異の根源は一緒ですが8篇それぞれ違った見え方をする怪異小説。それぞれ単体で読んでも面白いですが、一つ一つの物語が干渉し合い予想外の展開をみせ忠実に収束する。この流れが気持ちいい小説でした。
まとめ
以上、『人魚ノ肉』の紹介でした。怪異小説として、時代小説として(時代小説ファンがどう思われるかわかりませんが)あるいは熱き男たちの物語として読んでも良し。読みやすくバランスのいい作品だと思います。是非楽しんでください。
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