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【美しく儚いBADEND】『奇譚蒐集録』著:清水朔【サクッと紹介】

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作品紹介補足

清水先生は福岡在住の作家さんで2001年に『神遊び』で集英社ノベル大賞&読者賞をダブル受賞した方です。『奇譚蒐集録~弔い少女の鎮魂歌~』は日本ファンタジーノベル大賞で最終候補となりました。

 

読みどころ①美しく切ない

『奇譚蒐集録』は怪奇な話、特に”鬼”を追い求める先生とその付き人が奇譚を求めて日本の南国・沖縄の離島にいくお話しです。世間から隔離された孤島、可憐な少女、地方伝承の奇妙な儀式・・・あっ(察し)

 

シンプルに切ない作品でした。もうなんというか物語の序盤で結末を色々と察しちゃうんですよ。だからヒロインの少女が一筋の希望を掴むために駆け出すようなシーンもなんてことないラブコメ臭漂う描写も姉妹と飯食ってるだけの場面でさえ、恐ろしいほどに切ない!しかし、まだ序盤「もしかしたら・・・もしかしたらこの後どんでん返しのハッピーエンドが・・・」そんな感じにハラハラドキドキしながら物語の行く末を見守りました。

 

雰囲気もかなりいい作品でした。純粋無垢な少女の可憐さとある種の気味悪さのある地方伝承の風習この組み合わせはやはり最高ですね。

 

一応この紹介記事ではネタバレを極力避けるよう心がけておりますが今回は記事タイトルからすでに「BADEND」とネタバレをしちゃっています。まぁ、読む人によっては「TRUE END」かも知れないしもしかしたら「HAPPY END」かもしれませんが・・・。しかし先ほども書いた通り恐らく序盤でこの物語の結末が見えると思います。でも面白かったんです、いやだからこそ面白かったと言った方がいいかもしれません。結末がなんとなくわかるから面白い、珍しい魅力に溢れた作品でした。

 

読みどころ②魅力的な登場人物たちと民俗学ミステリー

 『奇譚蒐集録』はキャラクター文庫とのこともあって、キャラクターがアニメチックで魅力的です。しかしライトノベルほどアニメアニメしていないのでアニメ好きなヲタクもアニメチックなキャラクターに慣れていない方も(僕自身がゴリッゴリのヲタクなので実際にどうかはわかりませんが)楽しめる作品だと思います。

 

スタイリッシュに全てを解決しそうな権力を持った物好きな先生と自由奔放な先生に振り回される明らかにただ者じゃない主人公、おそらく誰もが「救ってあげたい」と思ってしまう不憫で儚い少女と孤島に伝わる”青の化け物”と個性豊かな様々なキャラクターがでてきます。

 

個人的に知的で自由奔放な先生・廣章とその付き人・真汐のコンビが好きでした。例えるなら日本版シャーロックホームズが廣章で知性と行動力と権力でなんかもう全て上手く解決しそうな感じなんですよ。僕は性格が悪いのでこういう「万能キャラ」「俺TUEEE系」を見ると嫉妬心と負の感情で溢れるのですが、廣章先生はそういう嫌悪感が全く感じさせずむしろ「おぉカッケェ」と感心しっぱなしでした。ワトソンポジションの真汐君もいいキャラでした。割と無茶する先生にハラハラドキドキしながらも心の底では信頼している描写なんかもいいです。ヒロインももちろん魅力的ですが語るとネタバレになるので割愛いたします。

 

キャラクターたちが魅力的だからこそ、不穏な展開約束されたBADENDの威力が倍増されているそんな作品なのかなと読み終わった後に思いました。「好きなアニメの推しキャラが来週死ぬかもしれない」そんな不安だけど楽しみなあの捻じれた感情を是非楽しんでいただきたいです。

 

まとめ

以上、『奇譚蒐集録』の紹介でした。「BADEND」を連呼していましたが、この作品は「美しくも儚いBADEND」だと言う事を忘れないでいただきたいです。決して後味の悪い物語では・・・ないはず・・・たぶん。運命にあらがう少女と異国の紳士たちの不気味で美しい物語を是非楽しんでください。

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前回のサクッと紹介

gromaxex.hatenablog.com

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