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有馬くんの小説紹介『ボーパルバニー』

   

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ボーパルバニー

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 ある日、仲間の一人が路地裏で首を切られて死んだ。心当たりは、もちろんあった。そして、街には不思議な噂が流れ始める。―――バニーガールが殺しに来る、と。俺たちは、決して犯してはいけない罪を犯した。その贖罪にはもう遅く、しかし罪を受け入れるにはまだ早い。俺たちは、この理不尽な死神から、逃げたり立ち向かったりしながら、緩やかに死んでいく。そして、今宵も彼女はやってくる。ピンヒールを優雅に履いて、真っ白な髪の綺麗な顔で、ご丁寧に赤いグラサンまでかけている。―――そうだ、バニーガールがやってくる。引用元:ガガガ文庫

 

こいつはモンスター小説だ!!

はい、どうもこんにちわー「にわかーらんど」のハードボイルド担当の有馬です。今日はラノベの皮を被ったピカレスク(悪漢・悪者)小説『ボーパルバニー』を紹介します。同作は「葬式三部作」(ガガガ文庫)や「魔術師スカンクシリーズ」(星海社)「デスパレードブルース」(ガガガ文庫)などの青春ライトノベル作家江波光則先生の著作です。不甲斐ないことに江波先生の著書は数えるほどしか読めていません。いまのところ甘酸っぱさ皆無で鉄の味しかしていません。大好物です。

 

アウトレジ的青春小説を得意とする江波先生が2015年に刊行した『ボーパルバニー』は2019年12月現在全2巻が刊行中です。裏社会で生計を立てる男女6人組と謎のバニーガールの泥沼の殺し合いを描いた1巻とその17年後の殺し合いの2巻の構成になっています。全編通して殺し愛。愛に溢れた作品ですね。ここから先はネタバレを含みます。ご了承ください。

 

個人的にこのラノベの本質は「モンスター小説」であると思います。(タイトルの元ネタも現代サブカルの原典『ウィザードリィ』のモンスターだからね、間違いない。詳しくは知らないけど。)SFホラー映画の『エイリアン』や『プレデター』と同質の面白さを感じます。本書を読むまでは、極悪でグロテスクなモンスターと書影の可愛らしいバニーちゃんが結びつかないと思います。

 

 

読み進めるにつれカワイイうさぎが不気味なモンスターへと変貌していく様子に読者は慄きながらも奇妙な魅力に惹かれていくでしょう。このあたりの小説の構成力と筆力は流石としか言いようがないです。読者に一番かわいがって欲しいであろうヒロインの心情をひたすらに隠しモンスターへと仕立てあげ、世界観から浮きまくっている「バニーガール」という存在を迫真の描写で世界に組み込み浸透させる筆力で生まれたモンスター「ボーパルバニー」。まだ未読の方には是非読んでいただきたいモンスター小説です。

 

主人公サイドの狩られる側の人間達も魅力なので紹介したいし、まだまだ語り足りませんがこの辺りで一旦筆をおこうと思います。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。(文:有馬)

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